腫瘍やガン、精神病といった難病にご利益が。 病の個所を井戸の水で洗うのが効果をもたらす <本体は浄行菩薩という仏さま> 数多くの神社仏閣が集まる鎌倉でも、比較的小さな規模の妙本寺には、蛇苦止堂(じゃっくしどう)と呼ばれる祠があります。この祠は、鎌倉時代の比企の乱の際に、祠の横にある池に身を投げて命を落としたという讃岐の局が祀られています。讃岐の局は、そのときの怨みで蛇となり、人にとり憑くようになったといわれています。 しかし、その後戦火を逃れるために日蓮上人直筆の本尊を井戸に納めたところ、井戸から黒雲がたちのぼり、一匹の蛇が姿をあらわし、雨を降らせ、火を消したという言い伝えがあります。それ以来、蛇が姿を現した井戸を「蛇形の井戸」と呼び、蛇によって戦火をまぬかれた本尊は”蛇形の本尊”と呼ぶようになったそうです。 本尊を守った功徳で、蛇となった讃岐の局の霊が成仏したことから、祠も蛇苦止堂と呼ばれるようになったわけです。現在この蛇苦止堂には「お蛇苦さん」と呼ばれる浄行菩薩が祀られ、火を消した力にあやかってか、腫瘍やガン、精神病などといった難病にご利益があるといわれています。お蛇苦さんに参るときは、自分が患っているのと同じ個所を井戸の水で洗うといいそうです。 <引用文献> ニッポン神さま図鑑 宗教民族研究所編 (株)はまの出版 1996.3.1
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